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HP「月と紅葉」の小ネタ受け皿。ジャンル雑多。
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<失くした記憶>

ガチャッ。

「・・・まだ起きているのか、ハルノ。」
「あ、父さん。すみません、この書類だけ終わってから・・・。」
「ギャングのや仕事だろう。忙しいのはわかるが、明日にしろ。
 眠りの不足は、命を削る。組織よりも、まずは己の身を何より優先させろ。そんな紙切れごときに、お前の命を懸ける必要などない。」
「・・・・大袈裟ですよ。」
「大袈裟なものか。お前はどうにも根を詰めすぎるところがある。
 万一無理がたたって過労で倒れでもしてみろ、しばらく館から一歩も出さんからな。」
「わかりましたよ。今日は、もう寝ます。・・・・・・・・・。」


 バシャァッ!!

「熱ッ・・・!」
「リキエル!手か!?見せてみろ!!」
「ごめ、ディエゴ、コーヒーこぼした・・・。」
「馬鹿!言ってる場合か!すぐに冷やせ!!」

キュッ、ジャァァァァァ・・・

「・・・よし。いいか、赤みが引くまで流水から手を離すなよ。今、氷をとってくる。」
「平気だって、こんくらい・・・。」
「火傷を甘く見るな。酷いものなら感染症を引き起こすことだってあるんだからな。
 いいから、しばらくそこでじっとしていろ。もし勝手に離れたら腕ごとペットショップに氷漬けにさせるぞ。」
「はいはい。・・・・・・ありがと。」


 心配してくれることが、嬉しくないわけじゃない。
 それでも、感じずにはいられない。
 二人の言葉の、その向こう側にいる存在のことを。

「・・・兄貴もか?」
「・・・リキエル、貴方もですか。」
 
 
 あの二人がかつて、僕らの知らない暖かいものをその身に受け、そして失ったのだということを。



無自覚ながら、根底に根付くトラウマ。
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2014年初小ネタ。


<門松>

「ゴールド・エクスペリエンスッ!
 無駄ァッ!無駄ァッ!」(ゴスッ!ゴスッ!)

メリ・・・メキキ・・・にょきにょきにょきにょき・・・

「・・・よし、高さはこんなものですかね。」
「おい、なんか形違くねぇか?こう、もっと斜めに尖ってた気がするぜ。」
「植物自体は竹で合っていたはずですが・・・。まぁ、加工するとダメージ反射がありますし、多少の誤差は目を瞑るということで。」
「適当だなぁ、全くよォォォ。」
「ただ、これではあまりに簡素ですね・・・。」
「あー、写真で見た時は確かこう、縄とか赤い何かで色々飾り付けてた気がするな。」

「おーい、とりあえずクリスマスん時使ったモール見つけたからこれで代用しようぜー。」
「お、ウンガロ。おっしゃよくやった。」
「んー、でもまだ何か足りないなー。なんかこう、丸いものとかもついてなかったかぁ?彩り要因的な、実みたいなの・・・。」
「正月で、飾りの実なら多分みかんだろ。カガミモチにも乗っかってるし。」
「ベネ。それですリキエル。
 みかんではありませんが、ちょうどここに先日年末の挨拶に来たオインゴさんが忘れていったオレンジがあるので、これを代わりにくくりつけて・・・。」

「御子息方ーーッ!ただ今ヴァニラが買い物に行っていますので!!ご好意は大変ありがたいですがどうかご容赦をーーーッ!」



うろ覚え門松(ダメージ反射竹にクリスマスモール&爆弾オレンジ装備)、完成寸前に阻止。テレンスGJ。
季節ネタ第二弾。年内に間に合ってよかった・・・!


<一発芸>

「聞いてくださいよヴェルサス。定職についてない貴方には縁のない話かもしれませんが、今は忘年会シーズンなんですよ。」
「とりあえずテメェが相談する気がないことだけは分かった、表に出ろ。」
「待って下さいってば。
 で、組織の方で忘年会があるんですが、そこで何か芸を披露する必要があるんです。」
「芸だぁ?ボスのテメェにゃ関係ないだろ。」
「立場ではボスですが、同時に新入りでもありますから。なにより無礼講の場ですからね。
 で、そこで・・・・その、実は、ミスタから、父さんの物真似を・・・・。」
「やれって言われたのか!?
 おいおい上司に無茶ぶりパワハラとはいい度胸じゃねーか、構うこたねぇ即座に粛清してやれよ。」
「いえ、そうではなく・・・僕が去年の忘年会で父さんの物真似を披露したんですが、今年は絶対にするなとミスタから釘を刺されてしまって。」
「何故したし。」
「アニメも始まった頃で、旬なネタだと思ったんですよ・・・。あ、でも勘違いしないでくださいね。ボスとしての威厳を失うような行為、例えば最高にハイとかWRYYYポーズとかそういうのをやったわけではないですから。」
「ほー。じゃ、どんな?」
「父さんがかつてポルナレフさんの再勧誘に使った長台詞とか、恐怖を克服する云々のくだりとかを、ポーズ込みで。あ、あと、上院議員さんを父さんからレンタルして『歩道が広い』の辺りを少々。要はカリスマ系ですね。
 一部の部下からは大変好評で、是非また見たいと言ってもらえたんですが、何故か護衛チーム内では不評で・・・。特にミスタからは『あれ以上やったら組織が崩壊する』とまで言われてしまったもので。」
「部下マジGJ。」
「そういう訳でどうしましょう、今年の忘年会隠し芸。その前の年にやった人体切断マジックは、中にディアボロを入れてたせいで苦情殺到になりましたし。」
「そこでなんで花咲かすとかそういう平和なマジックにしなかったんだ。」
「芸はスタンド使用禁止ってルールなんですよ・・・。
 毎年、暗殺チームは全員で歌とダンス、スクアーロとティッツァーノは夫婦漫才、チョコラータはセッコ回しと演目が決まっているので、それと重ならないジャンルで、かつインパクトのあるもの、出来れば大がかりな準備のいらないものがいいんですよね。そういう意味で、昨年の父さんの物真似は本当にピッタリだったんですが・・・。」
「・・・・・・・・・・あー・・・・ディエゴの物真似でもすれば?」


投げやりヴェルサス。
ジョルノがどんどん常識を投げ捨てたボケ担当ファザコンになっていく・・・。
ともあれ皆様、どうぞ良いお年を!
季節ネタ一つ目。冬の息ネタは何度目か。



<白い息>

「うう~~~ッ寒ィーーッ!
 あークソ、早く帰ろうぜーディエゴ・・・・・・・・あ。」
「?どうした、ウンガロ。」
「・・・息が白くねぇ・・・・あれ、ディエゴやっぱ最近人間やめた?」
やめてないッ!!
 だからそんな髪型替えるような軽いノリで人間卒業してたまるか!!」
「半分近くやめてるくせに・・・恐竜化で。
 え、じゃあなんで吐く息が白くねえんだよ?」
「白いだろ、ほら。(はーーーっ・・・)
 単に、元々の体温が低いんだ。あいつのように体温がないわけじゃない。」
「体温が低い・・・ああ、やっぱ変温動物だから。」
「かじるぞ。」
「ごめんごめん。
 ・・・あーあ、でもやっぱいいよなぁ~、ディエゴは。そんなとこまで親父に似てて。」
「・・・・・・・・。」
「オレもなんか、ひとつくらいあってもよかったのにさぁ。親父と似てるとこ。」

 あんな奴と共通する部分を欲しがるというのは、どうにも共感できないが。
 それでも、こいつが溜息と共に吐き出す息は、確かに俺やあいつとは比べ物にならないほどに白くて。

「・・・物の考え方や価値観は、案外似ていると思うがな。お前ら二人。」
「気休めはいーって。」

 力なく笑うこいつに「そんなことない」と即答してやれる程、俺とこいつはまだ付き合いが長いわけでもない。
 それでも、多少は気晴らしになればと、俺は意識して大きく息を吐き出した。



似てるのが嫌な人、似てないのを気にする人。ないものねだりもあるけれど。
どうでもいいがディエゴ、十分付き合い長い方だと思うぞ。(ディエゴが無駄家族加入から早二年ちょっと)
一応クリスマスネタ?
 
 
  <静かなる戦い>

「お、ジョルノ!悪いなー、急に呼び出したりして。」
「構いませんよ、仗助。それで、僕に聞きたいこととは?」
「いや、ちょっと参考までっつーか・・・お前さ、ガキの頃に、サンタ捕まえようとかしたことあるか?」
「はぁ?」
「こう、プレゼント強奪しようと計画して、音の出る罠設置したりとか、朝まで起きて正体見ようとするとか、そーゆーやつ。経験ないか?」
「・・・すみません、生憎サンタを信じられるような幼少期を送らなかったもので・・・。
 我が家にサンタが来るようになったのって、本当ここ数年なんですよ。」
「あー、やっぱそっかー。悪ぃ、俺も父親いなかったからさ。じいちゃんが代わりにやってはいたけど、モロバレだったし。
 億泰ん家はあったはあったが、すげー小さい頃だけだったからもうほとんど覚えてねーって言うし、康一もサンタは来てたが捕獲までは考えなかったとさ。徐倫なんか、聞いた瞬間殴られかけた。」
「まぁ、彼女も親子の交流ができるようになったのはつい最近ですから・・・。
 力になれなくてすみません、しかし一体なんの相談だったんですか?サンタのバイトでも?」
「いやー、実は知り合いの小学生にサンタの撃退法聞かれちまってさぁー。
 そいつもサンタとかもう信じてねぇし、そいつの父親も別にやりたかねぇのに、お袋さんがすっげー乗り気なもんだからやらないわけにいかないんだと。で、そのついでにちょいと日頃の鬱憤でも晴らそうかって思ったらしくて。・・・正直、あいつが自分で考えた作戦の方がよっぽどエグくなりそうだけど。
 ぶっちゃけた話、その父親ってのが吉良なんだよ。で、折角だし俺らも、このチャンスに思いっきり一泡吹かせてやりてーと思ってよぉ〜。」
「吉良・・・ええと、父さんの飲み会仲間の・・・てことは、ラスボスですよね。
 なんだ、それなら早く言ってくださいよ。そういうことなら、僕にも協力できますよ。」
「お!マジか?」
「ええ、要は相手に家屋に侵入させないまま撃退、及び殲滅すればいいんでしょう?
 まずは、侵入される危険のある出入口に罠を設置。音の出るものと言いましたが、できるだけ静かなものにしたほうがいいでしょう。標的に逃げられる危険も増しますし、なにより深夜では近所迷惑になる。
 となると爆発系よりも、水や、氷・・・なら、ペットショップとンドゥールさんですね。僕の紹介といえば二人とも快く協力してくれますから。どちらも獲物を逃がさない仕事人ですから、音もなく敵を撃ち抜いてくれること請け合いですよ。
 それと、万が一家屋内に侵入された場合に備えて、ケニーGに家の中を迷宮にさせておくのもよいでしょうね。幻覚を目くらましにして、潜んだヴァニラさんが背後からガオンと・・・ああ、お母さんは一般人でしたっけ。では寝静まった頃に発動させて・・・。」
「ちょっちょっちょっちょっちょい待て、頼むから待て。
 ・・・なんか俺、説明の仕方間違えたか?俺が言ってんのはあくまで一般家庭での親子の交流、ちょっと過激verくらいの方法であって、ギャング流の敵殲滅術でも帝王宅式セコムでもないんだよ。」
「えー?」
「えーじゃねぇし。」
「だって、相手はラスボス、つまりは吐き気を催す邪悪なんでしょう?なら何を遠慮する必要があるんですか。」
「確かにあいつは殺人鬼だし俺らも色々あったけど今は不可侵条約的なアレなんだよ!それとも何か?お前ん家はそんなやり方でサンタの親父さん撃退すんのか?」
「なに言ってるんですか!父さん相手だなんて、三重の意味で不可能ですよ。
 第一に、うちの父はこの程度では倒せません。第二に今の策の主力は全て父さんの部下ですので、そもそも罠が成り立ちません。第三に、僕らがこんな計画を立てたことを知った時点で、父さんは泣きます。」
「・・・・・・・・・・・・。」



説明の仕方ではなく、相談する相手を間違えたことを悟る仗助。吉良さん逃げてー。
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